平成27年度 管区布教講習会 併催 教化センター布教協議会(報告)

開催日:平成27年 5月21日(木)~22日(金)

木村髙寛老師(特派布教師・秋田県梅林寺住職)
木村髙寛老師(特派布教師・秋田県梅林寺住職)
片山一良先生 (駒澤大学名誉教授)
片山一良先生 (駒澤大学名誉教授)
センター布教協議会(グループ討論)
センター布教協議会(グループ討論)

会場:富山県富山市「光嚴寺」  富山県宗務所 第1教区 1番

木村髙寛老師(特派布教師・秋田県梅林寺住職)
 1講座目に「平成27年度 布教教化に関する告諭・布教教化方針」についてご講義を頂きました。
 以下が講義の流れです。
 1.はじめに  2014アンケートより 
 <寺院の役割と今後への期待> 
   葬儀の執行  年回法要の執行 仏教的行事の継承
   仏教の教えの布教 心が癒やされる場所 地域社会をつなぐ場所
   困ったときの駆け込み寺

 <法話に期待すること>
   生きることや死ぬことの苦しみや悲しみから心穏やかになる方法。
   葬儀や供養の営み方、礼拝の仕方など、宗教の作法やしきたり。
   教祖の教えや生涯。宗教施設や儀礼の持つ意味など宗教の教義。
   仕事、家庭、世間などでの人間関係の調和の保ち方。

2.前年度(26年度)と本年度(27年度)の「布教教化方針」を対比。
 各項目をそれぞれ解説。
 告諭・布教教化をどのように受け止め、私は、「何を伝えたいのか」どう実践するのか、が問われる。

3.目標
 <行動する布教師> 
  「布教は伝道である。伝道は伝法である。仏祖の法灯をかかげて人生の進路を照らすのが、布教伝道の大本である。―「説法と法話」曹洞宗宗務庁刊―

 <布教師とは>
  宗意安心の探求、参禅弁道の日常において、仏法の教理を研修し、その教えを身をもって実践する。など

4.伝えたいこと。告諭のどこをそのように、ふくらませるかを熟考する。

 2講座目は、「布教教化方針」に則した「法話実演」を行って下さいました。
 演題 「布施行」~「分かち合う生き方~
 はじめに 告諭「おことば」の伝達
  1.悟りへの四つの方法「菩提薩埵 四摂法」
  2.布施のあり方
  3.布施の具体的実践「行」
  4.「自未得度先度他」~布施行とボランティア活動の違い~
  5.相承 ~慈悲の心を継ぐ者は、同じお月さま~
  6.布施行と言う「行」も、私がやっているのではない。~菩薩の願いによって支えられている私~

片山一良先生 (駒澤大学名誉教授)
「仏陀の禅定」について2講座の講義を頂きました。

1講座目は、「智慧の禅定」パーリ仏典『法句経』より
 「智慧なき者に禅はない 禅なき者に智慧はない 禅と智慧があるならば かれはすでに涅槃に近い」 などをご紹介下さり、「念」「正知」」「貪の捨断」「瞋の捨断」「痴の捨断」「執着されないもの」についてお話し頂き、「禅定」の「止の禅定」「観の禅定」をご講義頂きました。

2講座目は、「慈悲の禅定」
 パーリ仏典の『法句経』より 「この世の怨みは怨みをもって 静まることはありえない 怨みを捨ててこそ静まる これは永遠の法である」
 『慈経』より 「あたかも母がわが独り子を  命をかけて守るように 生きとし生けるものに対して 無量の心を起こすべし」
 『犀角経』より 「慈、悲、喜、また捨なる解脱を 時に応じて修しつつ あらゆる世界に違背せず 独り行ぜよ、犀角の如く」
 などをご紹介頂き、「四梵住」「調和の世界」について、ご講義頂き、『坐禅』については、「天台小止観・序」「信心銘」「正法眼蔵 道心の巻」「正法眼蔵随聞記」「坐禅用心記」「良寛詩集」より、一文をご紹介下さり、お話し頂きました。
 ご講義の内容と、片山先生の静かな語り口が、聴衆者に「禅定」を与えて下さる研修でありました。

センター布教協議会 テーマ「ともに歩む僧侶とは」 
 6グループに分かれてディスカッション。その後、書記を務めて頂いた教化センター布教師老師に発表をして頂きました。
ディスカッションの内容は、下記の通りです。
 1. ご自身の取り組みをお話下さい。(ささやかな取り組み~イベントまで)
 2.今後、どのような一歩を踏み出すことが大切だと思いますか。

班ごとに各項を発表、その後、木村髙寛老師にご講評を頂き、増田友厚統監がまとめにの話を致しました。
主な発表内容は下記の通りです。
 1. ・月一回坐禅会を行っている。30年くらいかかって定着した。
    ・ホームレスの方に仕事を作っている。(山内作務)
    ・青少年教化員として経験を積みたい。
    ・如常の生活を心がけている。
    ・月参りなどで檀信徒の話を聞く。
    ・書道教室の再開。(土曜朝8時から10時。小学生参加。)
    ・チャリティー寄席。
    ・農作業(檀家さんと同じ事をする)。
    ・葬儀の前後で遺族とゆっくりと話をする時間をもつ。
    ・週に一度、境内で太極拳(4月~10月)。調息・調心につながるところがある。  など

 2. ・開かれたお寺というイメージを持ってもらう。
    ・来る人は檀家であるなしにかかわらず、こだわらない。
    ・坐禅会、写経、イベントなどを始めたいと思うが、続けられるか考えると躊躇する。
    ・御詠歌を通してのつながり。
    ・共に歩む僧侶同士のコミュニケーションの必要性。
    ・センター布教師会などで情報交換したことをそれぞれやっていく。
    ・情報の発信が多様化していく中で、僧侶もどのように発信していくか考える時である。
    ・思いついた事は何でも挑戦したい。
    ・僧侶たるもの、勉強してしっかり地固めが必要。  など

以上