曹洞宗のはじまり"一仏両祖"が説いた坐禅

曹洞宗は、お釈迦様の時代から連綿と受け継がれてきた「正伝の仏法」を拠り所とする宗派です。正伝の仏法は「坐禅の仏法」ともいわれ、鎌倉時代、道元禅師により中国・宋から日本へと伝えられました。道元禅師は、私たち人間は生まれながらにして「仏心」を与えられているといい、坐禅によりその「仏の姿」が明らかになると説きました。またその教えを全国へと広めたのが瑩山禅師であることから、道元禅師・瑩山禅師を「両祖」とし、ご本尊であるお釈迦様(一仏)とともに、"一仏両祖"として仰いでいます。

道元禅師

道元禅師は1200年に京都でお生まれになり、34歳のときに宇治に最初の修行道場を開きました。仏法の境地と実践を伝えるべく『正法眼蔵』の執筆を続け、1244年越前に大仏寺(後に永平寺と改名)を建立。大本山 永平寺では、今日にいたるまで道元禅師により定められた厳しい作法に従って、禅の修行が日々営まれています。

元禅師

所謂坐禅は習禅には非ず。
唯だ是れ安楽の法門なり、菩提を究尽するの修証なり。
『普勧坐禅儀』 道元禅師

――― 坐禅をすること、それ自体が悟りである。

瑩山禅師

瑩山禅師は1264年(1268年の説もある)、越前にお生まれになりました。37歳のとき『伝光録』をお示しになり、その門下には優れた人材が集まり、曹洞宗が発展する基礎が築かれました。58歳で諸嶽寺を寄進されると禅院に改め總持寺と名づけました。總持寺は、永平寺とともに曹洞宗の「両大本山」であり、信仰のみなもとになっています。

瑩山禅師

常に大慈大悲に住して、
坐禅無量の功徳、一切衆生に回向せよ。
『坐禅用心記』 瑩山禅師

――― 常に慈悲心をもって坐禅の功徳を多くの衆生に手向けなさい