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【詳細な内容】
『oterart金澤』とは、『お寺』と『アート』を掛け合わせた造語(=オテラート)で、美術や工芸、アート作家や、美術・デザインを専攻する学生が主に参加し、アート作品展示を中心とした芸術祭です。年1回、9月上旬の20日間程の期間を設け、金沢市内4地区・超宗派11カ寺の各お寺の本堂や境内に作品を展示しています。また期間中にはワークショップや音楽会、喫茶など、50以上の行事が併催されます。例年の作品出展者は60名程、また全体で4,000人以上の来場者があり、それぞれの作品やお寺についての素直な感想を沢山頂いています。毎年実行委員を募り、作家や学生、また教育関係者や各住職との繋がりで協力し、10名〜15名程で毎月1回の会議を重ねています。お寺や美術・芸術をもっと身近に感じて頂ける機会として、またこの試みが金沢の美術・芸術を支援し、さらに地域文化やお寺の再認識・再発展する機会になればと考え、10年間継続開催しています。

【活動しての感想】(成果のあったこと・苦慮したこと等)
1.『oterart金澤』を始めたきっかけですが、10年前、金沢駅から徒歩15分ほどの住宅地に、3ヶ寺のお寺が歩いて5分程の近隣にあり、地域のお寺として何か出来る事があるのではないかと話し合ったところ、「金沢は美術・工芸・アートが盛んで、若手作家や学生さんも多いので、アートの芸術祭なら出来るのではないか」という話になりました。1カ寺ではなく複数寺院や地域で開催することで、お寺の拝観も互いに出来、また少子高齢化が進む地域の活気になるのではと考えました。『oterart(オテラート)』という名前は、『お寺』と『アート』で、オテラートでいいのではと冗談で提案したことがきっかけになっています。
2.『oterart金澤』の初開催は作家と学生が15名、3カ寺の各お寺に5名ずつの展示会でした。初めての試みでもあり暗中模索で準備をして開催したところ、予想以上の反響がありました。近所の子供達は「初めてお寺に入った、すごい」「なんか怖い」などの感想や、ご年配の方は「30年前と変わってないね、懐かしい」という声、また学校関係の見学などの申し入れがありました。oterart金澤の期間中、一般の若い方や近所のご年配の方、近隣の小中高校生、大学生や園児の見学などで賑わい、展示作品やお寺、地域の歴史を通してのコミュニケーションが生まれていました。お寺が地域のコミュニティの場として開かれていると実感しました。
3.開催後の反省会の時には次回の開催について、工芸・アートの作家や学生、教育関係者がたちまちに集い、出来る可能性をお互いに熱意をもって話合いました。展示方法の工夫や広報の在り方、出展作家の募集、ボランティアについて、また様々な行事が平行して出来ることなど、お寺の視点とは違った意見を沢山聴く事が出来て大変驚きました。
4.毎年開催を終えてからの感想に、「作家や学生さんの創作する熱意に感動し、美術・芸術を地域のお寺として是非応援したいと思えること。そして、皆で1年間毎月の会議と準備を通して、いつの間にか絆が深まり、共に地域の為に模索しながら学び合えた時間がお互い何より嬉しいということがあります。今、『oterart金澤』は、作家さんや学生さんにとって、また地域の方にとっての『oterart金澤』があり、沢山の方の想いによって支えられていることが何より励みと喜びになっています。

5.『oterart金澤』という試みは、「3カ寺だけでするのではもったいない、多くの寺院や作家さん、学生さん、地域の方にさらに関わって頂き、金沢市全体で開催出来るようになったら」という事を初開催の時に思い、それから4年目には1カ寺増え、5年目には10カ寺、現在は4地区・11カ寺で開催しています。来年以降も宗派を問わず手を挙げて下さる寺院は年々増えており、一緒に出来る枠組み作りが現在の課題となっています。

6.その他では、『oterart金澤』を開催することで、お寺が地域の学びの場になった事を受けて、私達僧侶自身こそ学びの場が必要と思い立ち、『仏教に学ぶ会』という勉強会を毎月開催しています。超宗派の僧侶が互いの教義を学び合い、仏教に興味がある一般の方も一緒に学べる機会となっています。また釈尊降誕会を落語家とコラボレーションし、超宗派12カ寺で説法と落語が楽しめる『おてらくご』の開催や、市内の商店と連携して、仏教法話が聴ける『坊主BAR』の毎月開催など、oterart金澤から始まった寺院活動は他の寺院や地域へと益々広がり、地域の新聞やニュースでお寺の活動が頻繁に紹介されています。『地域と共に取り組める寺院の在り方が、どの地域でも必要とされているのでは』と考えています。
7.同様に一寺院の在り方においても、総代さんや檀家さんと共に取り組んでゆける事として、年中行事の各法要の在り方や坐禅会の開催、また寺院普請の計画や葬儀・法事について共に考え、それぞれの意義を学んでゆくことも大切な事と感じています。
8.今後の活動として、『寺子屋・縁結びの会』を企画しています。少子化や結婚が出来にくい現代の諸問題に取り組む必要を感じて、20カ寺以上の寺院での開催を準備しています。
寺院活動を通して様々な課題に携わってゆける背景には、共に学び、活動する仲間が増え広がり、お互いの得手不得手や作業・準備などの負担を支え合うことで成り立っていると感じています。
一人の行いでは歩みは心もとなくその変化はわずかですが、共に歩めることでいつの間にか状況が大きく変化していることも実感しています。
課題は多いのですが、皆で向き合い、出来る限り具体的に取り組み、共に学んで行ける機会としての寺院活動を継続して参りたいと考えています。

お問い合わせ先

廣誓寺/巽 亮光

  • 電話番号:076-252-3592

公開日:2020年07月01日